一般社団法人 湘南くらしのUD商品研究室
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2016年8月17日
 
「ヨッテク2016」レポート
優れたアイデアにあふれる移動支援機器や学生のデザインによる福祉器具など

主任研究員  柳原 美紗子

福祉のことがわかる総合イベント「ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド2016」、愛称「ヨッテク2016」が7月29日と30日の二日間、パシフィコ横浜で開催されました。


テーマは「移動」(1)
車いすや歩行器などの移動支援機器関連、福祉車両など、「あなたの移動を快適に」を謳うアイディアが随所に見られました。今話題の近未来型電動車いす、WHILL(ウィル)も出展していました。これは四輪駆動で最大7.5cmの段差も乗り越えられるという車いすです。


またイベントで、とくに楽しかったのが、「心魂(こころだま)プロジェクト」のパフォーマンスです。この「心魂プロジェクト」は、難病に苦しむ子どもたちやご家族と手をつなごうというアーティストたちの想いからスタートした団体だそうです。生きる喜びを表現することで共有するという理念のもとに活動されているとのこと。
メンバーは劇団四季や宝塚歌劇出身のミュージカル俳優やパフォーマーたちです。ライブはさすがに本格的で、すばらしかったです。各地を公演し、その収益で、できる限り無償で病院や施設へのデリバリーパフォーマンスを行っているとのことで、頭が下がりました。

興味深い学生のアイディア (2)
今年も工学系学生による福祉器具のデザイン提案が注目されました。出展したのは、今年も日本大学生産工学部創生デザイン科内田研究室と千葉大学工学研究科デザイン科学専攻の学生グループです。そのいくつかの興味深いアイディアをご紹介します。

まずは日本大学内田研究室から。片麻痺の方のためのアイディアです。

片手でラクラク計量スプーン

これは片手でも容易に使用可能な計量スプーンです。計量スプーンを使う際は、片手でスプーンを持ち、もう一方の手で調味料などをスプーンに注ぐという両手の動作が必要で、片手しか使えない方は、計量スプーンを扱えません。
そこで計量スプーン自体をコップにのせて、固定することで、片手でも簡単に扱える計量スプーンを考案したといいます。確かにこれなら液状のものも、粉ものも、片手で簡単に摺り切ることができます。素晴らしいアイディアですね。

ゴミ袋縛りクリップ
ゴミ出しをする際、片手だけではゴミ袋を強く縛ることができません。そこでこのクリップと結束バンドを考えたそうです。使い方は、ちょっと複雑でしたけれど、慣れれば案外簡単にできそうでした。


次に千葉大学の学生グループです。

片手でヘアアレンジができる「くるっぷ」
これは「ヨッテクデザイン大賞」を受賞した作品です。「片手が不自由でも、おしゃれを楽しみたい」、「片手で髪を結びたい」、そんな思いに応えて片手でヘアアレンジをするための道具「くるっぷ」を考案したそうです。基本的な使い方を覚えれば、いろいろなヘアアレンジが楽しめるといいます。

ろっくさん

松葉づえって、使っていないときは倒れやすいですね。でもこれがあれば、松葉づえは倒れません。これは二本の松葉づえをまとめてどこにたてかけても倒れないようにするストッパーです。松葉づえ使用者の誰もが抱える問題に着目したアイディアで、私も体験したことがあるだけにちょっと感激しました。

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