一般社団法人 湘南くらしのUD商品研究室
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2020年3月30日
 
わたしとコートと□展~買い手目線のバリアフリー考える
すべての人がファッションやショッピングを楽しむために

主任研究員 柳原美紗子

任意団体コオフクが主催する「みなとコオフク塾」の『わたしとコートと□展』が、2月1日から6日まで、ワールド北青山ビルで開催されました。「みなとコオフク塾」というのは、障がいの有無に関わらずファッションを楽しむことを目的にしたプロジェクトで、東京都港区にゆかりのある"多様な人々"が集い、障がいのある方が抱えるおしゃれの悩みや課題を理解し、衣服をリデザインするプログラムを実施されています。

今回のテーマが「コート」だったのです。このプログラムにはワールドグループのブランド「オペーク ドット クリップ」と「ザ ショップ ティーケー」のメンバーも参加しているそうで、それぞれのブランドが展開するコートをもとに、回を重ねてつくったワードローブがマネキン展示されています。



本展の初日、関連イベントとしてトークセッションがあり、私も行ってきました。登壇したのはイオンモール甲府昭和ゼネラルマネージャー 東朋浩氏、丸井グループサステナビリティ部ダイバーシティ&インクルージョン推進担当 井上道博氏、東急不動産 都市事業本部 商業施設開発部 若津宇宙氏と、コオフク プリンシパル 西村佳子氏です。本セッションの企画運営を担当されたFashionStudiesの 篠崎友亮氏の進行のもと、「買い手目線のバリアフリー」と題して、商業施設における現在のバリアフリーの取り組みや施策などが語られました。

まず東氏が、イオンモールの「人にやさしい施設・街づくり」を、井上氏が、丸井が実施しているユニバーサルデザインの様々な試みを、若津氏が、開発を手掛けた東急プラザ渋谷にみるバリアフリーの考え方を、自己紹介方々プレゼンテーションされました。

次にフリートークとなり、エレベーターやトイレ、手すりなど商業施設におけるユニバーサルデザインの具体例が紹介されました。中でも興味深かったのが、井上氏のお話です。博多丸井では4,000人のモニターがいて、車いすユーザーなどの方々からの視点で、ハード面の改善がされているといいます。車いすの方は足の小さい方が多いそうで、レディス靴で19.5cm~27.0 cmのサイズを揃えたブランドを展開されているとか。また有楽町丸井では昨秋「すべての人」が使いやすい試着室『みんなのフィッティングルーム』を設置。自分の部屋にいるような広々した空間で、使いやすさが好評だそう。これに続けてハード面の充実以上に大切なのは「おもてなしの心」と強調され、接客には何よりも思いやりの精神で臨むように、従業員教育に力を入れているといいます。

さらに意外でおもしろいと思ったのが、若津氏による客の属性に関する話題です。東急プラザ渋谷で一番多いのは在住外国人、次に外国人観光客、そして三番目がシニア層だそうで、夜のエッジ―なバーには高齢の方がたくさん来ているといいます。現在、1階の観光案内所で運営に携わっている同氏、そんなことも意識して「渋谷のロビー」を盛り上げていきたいと話していました。

イベントの最後に、「みなとコオフク塾」修了書授与式があり、ワールド代表取締役の上山健二氏よりワークショップに参画した各チームに、修了書が贈られました。おしゃれが好きで新しいことにトライしたい、でもどうしたら楽しめるか分からない。そんな好奇心旺盛な人たちの思いと悩みを繋げ、カタチにしていくこのプロジェクト、ほんとうに尊いと思います

継続を願いつつ---、会場を後にしたことでした。

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