「春眠 暁を覚えず」といいますが、3月17日「世界睡眠デー」もあって、最近睡眠に関する話題を多く見かけます。WBC出場の大リーガー、大谷翔平選手もこだわっているのが「睡眠」で、睡眠の質をモニターできるバンドも着けて睡眠の質や睡眠時間を管理しているといいます。この睡眠状態を計測する睡眠計にはリストバンド型やヘッドセット型、マット型などいろいろなものが出ています。しかし精度の点で今一つではないでしょうか。
そこで提案したいのが、先般開催されたウェアラブルEXPOに出展して反響を呼んだ(株)スイミン(S’UIMIN )の「インソムノグラフ(InSomnograf)」です。ちなみにこの名称は「インソムニアInsomnia=不眠症」と「グラフ(Graf=可視化)を合成した造語です。
「筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授 で(株)スイミン代表取締役社長の柳沢正史氏による「良い睡眠からウェルビーイングへ」テーマの講演も行われました。氏は「睡眠は健康とパフォーマンスの根幹である」と指摘。「睡眠の不調は労働生産性に対し、肥満や運動不足よりも大きな影響を与える。中長期的には、うつ病、メタボリック症候群、認知症などの疾患リスクを高める。睡眠の改善には、個々の睡眠悪化の要因を踏まえた対策が重要」と強調し、(株)スイミンの睡眠脳波測定によるヘルスケア事業への取り組みを紹介しました。
それが脳波を計測して睡眠の質を調べることができる脳波計「インソムノグラフ」です。ブース展示されていて、担当者によると、不織布製の薄くて軽い電極をおでこと両耳の後ろに計5カ所に貼り付けて、脳波を測定します。得られた波形データは端末を通してクラウド上に送られ、AIが自動解析します。解析されたデータは同社専用のウェブサイトにアップロードされ、各ユーザーに提供されるとのことです。
その最大のメリットは、軽量・小型なので電極の装着も被験者自身で可能、誰でも場所を選ばずに、医療レベルの精度で睡眠を調べることができることです。従来の睡眠計測のゴールドスタンダードである「ポリソムノグラフ」は検査入院を必要とし、日常環境での睡眠の計測が困難でした。またバンド型などの「睡眠計」は誰でも簡単に利用できますが、身体の動きから睡眠を“推定“するため、睡眠の質の計測精度に限界がありました。睡眠状態を可視化する高度な「精度」と、どこでも気軽に測定できる「使いやすさ」が高いレベルで両立している「インソムノグラフ」は、まさに進化した睡眠テックです。在宅で被験者自ら装着できるように音声案内機能も搭載されています。
その一方で、医師の診断をサポートする役割も担っていて、現在、提携している医療機関は約80あり、2022年末に医療機器の認証も取得したといいます。(株)スイミンの資料によると、2021年秋に首都圏の施設を通じて100名の睡眠を検査したところ、43%が中程度以上の睡眠トラブルを抱えていたとか。実際、日本人の平均睡眠時間は、経済協力開発機構(OECD)の国際比較調査によると加盟国の中で一番短いと言われています。睡眠を検査することにより、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害のリスクが分かるようになるとは、何という朗報!とくに脳波を取得する睡眠検査では、本人が自覚しにくい「睡眠の深さ」や「睡眠障害を疑う材料」などを詳細に確認することができ、だからこそ、最適な睡眠改善策につなげることができるといいます。
「良い睡眠からウェルビーイングへ」、睡眠に悩む人の希望の光になると期待しています。
2023年3月25日
「良い睡眠からウェルビーイングへ」進化する睡眠テック
睡眠の質を医療レベルの精度で手軽に図る
代表理事 柳原美紗子