10月16日、幕張メッセで開催されていた「医療と介護の総合展」(メディカルジャパン東京)に行ってきました。毎年秋のこの時期の「国際福祉機器展」が開催中止となったため、介護や福祉にまつわる最新情報を得ようと、見てきました。
基本的には病院・クリニック・介護事業所・行政など業界関係者向けの展示会だったようで、各分野の専門家を対象としたイベントとなっていたようです。9月に東京ビッグサイトでのライフスタイル展に行ったときに感染対策が徹底していたように、こちらもコロナ感染予防のためのあらゆる対策(サーモグラフィによる体温測定、マスク着用義務、手指の消毒、空調設備による常時換気など)がおこなわれていて、不安を和らげる配慮がなされていました。
今回私が特に注目した展示をご紹介します。
1.転んだ時だけ柔らかい床「ころやわ」:㈱Magic Shields(マジックシールズ)
転倒による骨折から高齢者とその家族を守る、というミッションで開発された骨折予防床材。歩行時は通常の柔らかさで転倒時だけ柔らかくなる、という驚きの構造(可変剛性構造体)で、詳しい構造は非公開とのこと。展示されていたので私も実際歩いてみたが、表面は 多少柔らかさはあるものの沈み込みのない硬さを保っており、聞くと、車いす使用時でもそのまま硬さを保って移動時の安定性を保っているとのこと。試しにジャンプして強く床に踏み込むと、柔らかく床が沈み込み、驚きました。でもまたすぐに元の状態に戻るため、何度でも衝撃を軽減することができるとのことでした。すでに「ころやわ」は医療機関、福祉施設、公共交通機関など多方面に導入されているというが、今後個人住宅の新築・リフォームへの対応も考え建設会社や住宅リフォーム会社との連携を検討中でもあるとのこと、一人暮らしのお年寄り世帯が増えつつある昨今、転倒・骨折リスクを考えると、心強く感じました。
2.車椅子を使用する人が自宅トイレに一人で行くことを補助する機器、「ツキソークレーン」:月島倉庫
3.かがむことが難しい人が一人でパンツやおむつを履くことができる機器、「ツキソーパンツリフト」:月島倉庫
2,3とも介護業界とは縁のなさそうな倉庫業を営む会社が新開発したもので、持ち上げたり降ろしたり、といった技術を利用して作られています。女性の会社役員の方が、将来自分が車椅子を使うようになったときに「トイレには一人で行きたい」という願いから開発された、と伺いました。服の脱ぎ着はどうするのか、見守りは必要ないのか、などまだまだ課題は多いですが、こういう問題に向けて具体的にこのような機器が作られたことに、感謝の気持ちがわきました。今後もっとシンプルに使いやすくなって、車いすを使う下肢に障害を持つ人がだれに頼むことなく本当にひとりでトイレに行けるようになれば、介護現場の負担も軽減するし、本人の自立支援にもなって、QOLの向上につながる、と思いました。
会場ではコロナ感染をいかに防ぐか、という観点での商品やサービスが多く、弱酸性次亜塩素酸除菌液や二酸化塩素除菌スプレー、弱アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウム除菌消臭剤、オゾン水生成器(除菌)、などそれぞれが「我が社の製品が一番!」と効果効能と安全性を宣伝して迷うほどでしたが、実際のところはどうなのでしょう。また「感染対策アドバイザー」「感染対策シニアアドバイザー」なる資格を取得する検定講座の宣伝もあり、「感染症.com運営事務局」が「感染症対策専門コンサルタント」として始めた事業のようで、そのカリキュラムを見ると多岐にわたり、まさに時流に乗っかっていると感心しました。
9月、10月と大規模展示会に伺って、感染対策を主眼に置いた様々な商品やサービスを見るにつけ、いつまでこれが続くのであろうかと、やや疲労感、倦怠感を覚えましたが、まさにただ今世界的な大流行のコロナ感染に翻弄されているのであるから仕方がない、と自分に言い聞かせておりました。